烏鷺画廊

ここはの、散文が流れ着くんじゃ。

三国志(正史)の魅力は"勝者がいないこと"。

曹操をはじめとする獅子たちが天下平定、天下統一を成す覇者となるべく凌ぎを削るわけだけど、結局誰も最後に笑えなかったのよね。

そんな正史を元に、もしも献帝に双子の弟がいたらというフィクションが三国機密、と受け取りました 。

三国機密、良かったです。合格。

ショボいCGがあったりしたけどシナリオ、役者さん共に良かったです。

非常に細かく心情の変化が描かれててね。それを役者さんが見事に演じ切ってるんですよ。

例えば伏寿。
はじめこそ漢室のために動いてた伏寿は劉平と共にいくつもの苦難を乗り越えていく中、考えが180度変わるんだけど、その変化が時計の短針みたいに徐々に変わっていくんです。んで、最後に笑うの。ここ大事。

中でも次第に惹かれていく最中、司馬懿と劉平が二人で出かけてしまい、一人残された伏寿が拗ねて枕を蹴飛ばしてたシーンが良かったです。萌えました。

崔エンも良かった。
死を覚悟したシーンが大変良かったですね。儒者が死ねば矛先が一気に曹操へ向くという策のため、後は任せますと孔融を閉じ込めるシーンです。

目に光が宿ってないんですよ。本当に死を覚悟したことがあるのかも。演技とは思えませんでした。

けど話を通して最も良かったのは曹丕の存在です。曹丕を"愚か者"として描いていました(私はそう受け取りました)。

曹丕が力(権力)に固執する程、劉平の器の大きさが引き立てられるんです。それが話を見ている私までもが気づくんですよ。曹丕じゃあかんわ…って。冕冠被ってもコレジャナイ感半端ない。

劉平は青や白といった誠実さを感じる色の衣装だったけど曹丕は終始黄色の衣装でした。

黄色は中国ではロイヤルカラーで、けどそこから盛者必衰を連想するそうです。いずれ廃る。いずれ滅ぶ。

また黄色のネガティブイメージは軽率さ。

嗚呼、曹丕だ…


三ムソでは曹丕はお高くとまったひねくれイケメンで、何をどうしたらひねくれたかがよくわからなかったけど機密でなるほどと理解。愛情不足、反骨精神、曹操の息子というプライド、得られない人望、人徳…。正史とオリジナルを混じえながら愚か者になるまでが描かれていました。お見事でした。

禅譲で皇帝でなくなった劉平は同じく皇后でなくなった伏寿と穏やかに暮らし、代わって最高権力者となった曹丕は籠の鳥となったという対比もフィクションと正史をきれいにまとめて着地させたと思いました。

残り3巻がなかなか借りられなくて、気になってあらすじやウィキを見たら伏寿が毒殺って!まじかよ!死別なんて嫌だー!泣きながら伏寿の埋葬を見てたからの仮死状態はトンデモ設定だけどハピエンだったのでヨシ🐱